あらすじ
舞台はインド。舞姫ニキヤは、戦士ソロルと愛し合っている。人目を忍んで二人は逢い、ソロルは、永遠の愛を神聖な火に誓う。ニキヤを愛する大僧正は、それを見て嫉妬に狂う。藩主の屋敷へ呼ばれたソロルは、その娘ガムザッティとの結婚を言い渡される。躊躇する彼だが、藩主からの命令は絶対。ガムザッティの美しさにも心を動かされた彼は承諾する。それを知った大僧正は藩主に、ソロルとニキヤの仲を密告。藩主はニキヤを亡き者にしようと考える。一方、ニキヤの存在を知ったガムザッティは、彼女を屋敷に呼び、ソロルを諦めるよう説得する。だが、ソロルと愛を誓ったニキヤは、追いつめられた挙句ガムザッティにナイフを向ける。激怒したガムザッティはニキヤヘの復讐を誓う。ガムザッティとソロルの婚約式に、舞姫として呼ばれたニキヤは、ソロルからだと渡された花籠を抱き踊るが、忍ばされていた毒蛇に噛まれて死ぬ。後悔と悲しみに沈むソロルは、アヘンを吸い、ニキヤの幻影と出会う。そして、ガムザッティとソロルの結婚式。神聖な火への誓いを破ったことにより、神の怒りで世界は崩壊してしまう。
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ニキヤの亡霊が現れる |
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19世紀に生まれた「バヤデルカ」は、ほかの作品同様に、時代の流れとともに様々に演出を変えていった。最終幕は失われ、「影の王国」で終わることも多い。幻想的なラストはそれはそれで美しいのだが、物語として中途半端な印象を受けなくはない。原典重視のレニングラード国立バレエの「バヤデルカ」は、「影の王国」の後、目覚めたソロルとガムザッティの結婚式が行われる。原典通りのストーリーだが、振付や音楽自体も失われているために、この部分は、当時の音楽監督アニハーノフが曲を補作し、元芸術監督ボヤルチコフが振りつけている。つまりレニングラード国立バレエのオリジナルの場面。赤いドレスのガムザッティの背後に純白の衣裳のニキヤの亡霊が佇むシーンは幻想的で、ソロルの動揺にも納得。最後までスリリングなドラマ展開が楽しめる。 |
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