あらすじ
ジークフリート王子は、その母である王妃から、明日の舞踏会で、城に招かれた娘の中から婚約者を選ぶように告げられる。自由な人生を惜しみつつ、純粋な理想の愛を夢見る王子は、白鳥の群れに導かれるように狩りに出る。森の奥の湖で、王子が目にした一羽の美しい白鳥は娘に変身する。それはオデットだった。悪魔の力で彼女たちは、姿を白鳥に変えられていて、夜の間だけ人間の姿に戻れるのだった。いままでに誰にも愛を誓ったことのない青年の愛だけが彼女たちを救うことができる。王子はオデットに愛と忠誠を誓うが、夜が明け、オデットは再び白鳥の姿に戻る。翌日の舞踏会に、悪魔は、オデットそっくりの自分の娘オディールとともにやってくる。王子はその娘をオデットと思い込み、彼女を花嫁に選ぶと宣言する。悪魔は勝ち誇り、王子にオデットの幻影を見せる。欺かれたと知った王子は湖へと急ぐ。湖ではオデットたちが悲嘆にくれている。悪魔は、恋人たちを滅ぼそうとする。だが、二人の純粋な愛を打ち負かすことはできない。王子は悪魔の羽をもぎ取る。悪の魔法は解け、オデットたちは人間の姿に戻る。オデットと王子は友人たちに囲まれて日が昇るのを見つめる。
|
オデット |
|
『白鳥の湖』は、世界で最も人気が高く、上演回数が多いバレエ作品。チャイコフスキーのそのメロディは誰もが聞いたことがあるだろう。
レニングラード国立バレエが2009年からレパートリーに取り入れた『白鳥の湖』は、ミハイル・メッセレル演出版。プティパ/イワノフの原典版を基礎にプティパの弟子ゴールスキーがボリショイ・バレエに振付したヴァージョンを、1956年にアサフ・メッセレルが復元、それをレニングラード国立バレエの現バレエ・マスターでありアサフの甥にあたるミハイルが、同バレエ団に伝えたものである。つまり、その源流はプティパ/イワノフ版。道化の登場や、ドラマの結末など、原典版との違いはみられるものの、作品自体はオーソドックスな味わいがある。古典バレエならではの醍醐味が堪能できる。 |
|
|
物語には直接関係がないが、この演出版ではとても重要な役どころ。それが「道化」だ。王子の僕(しもべ)のようでいて、しかし王子に無視されると、すねてみせる。なんとも愛らしい存在。バネのようなジャンプを見せたり、コマのようにクルクル回ったり、超絶技巧を得意とする実力派ダンサーが扮しているのでその踊りには目が離せない。
|
|
オディールと王子(ペレン&サラファーノフ) |
|
|
オディールと王子(ボルチェンコ&シヴァコフ) |
|
|
|