あらすじ
この作品は、特にストーリーを持っていない。森の奥深くに迷い込んだ男性詩人が、シルフィード(空気の精)たちとともに踊る。音楽はショパンのピアノ曲をグラズノフがオーケストラ用に編曲したもの。
白いロマンティック・チュチュ姿のシルフィードたちが詩人と戯れる・・・幻想的でロマンティック。その舞台は一見、19世紀に誕生した「ジゼル」や「ラ・シルフィード」に通じているようにも思えるが、じつは「レ・シルフィード」は、ミハイル・フォーキンが20世紀につくったバレエである。
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勇壮な序曲「ポロネーズ」(ロシアのバレエ団が上演するときは、まずこの曲が演奏される)の後、幕が開くと、そこは青白い月の光に照らされた深い森の中。美しい男性(詩人)をシルフィードたちが取り囲んでいる。それはロマンティックな絵のようだ。そして、次の瞬間、その絵が動き出す。その一連の流れをどうかお見逃しなく。「レ・シルフィード」の上演が成功するかそうでないかは、幕開けで決まると言ってよいのだから。
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この作品は、20世紀につくられた、「19世紀のロマンティックバレエ」へのオマージュ。「ジゼル」や「ラ・シルフィード」同様に、白い衣裳の女性たちの群舞(コール・ド)が見どころとなっている。だが、そこには、ほんのわずかに、現代的な感覚も感じることができる。振付者フォーキンは、古典回帰を計ったわけではなく、じつは抽象的なバレエを目指していた。「レ・シルフィード」は、古典的な味わいを持つ新しい作品。その「新しさ」をどう表現するのかは、個々のダンサーのセンス次第だ。
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「レ・シルフィード」は、ショパンのピアノ曲のオーケストラ編曲で構成されている。そのいくつかは、どこかで聞いたことのあるようなメロディラインだ。その音楽にのせてシルフィードと詩人が踊る。ときに音楽と戯れるように、あるいは音楽に触発されるように。
「音楽性」を非常に大切にしているレニングラード国立バレエでは、ダンサーの動き自体に「音楽」が求められている。レニングラード国立バレエの「レ・シルフィード」では、ショパンの音楽が新鮮に聴こえるはずだ。 |
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