演目を知る

チャイコフスキー3大バレエ
その他全幕バレエ

パキータ

華やかなテクニック満載の楽しいグラン・パ 上演時間:約30分

あらすじ
スペイン女性パキータはフランスの士官リシュアンと惹かれあっている。だが、パキータはジプシーで、しかも当時スペインはナポレオンの統治下なので、二人がハッピーエンドを迎えるのは難しい。そんなパキータに恋する男性の嫉妬により、リシュアンは殺されそうになる。危機を救ったパキータとともにリシュアンはフランス人総督の館に向かう。そこでリシュアンは伯爵である両親にパキータとの結婚の許しを求めるが拒否される。だが、館に飾られた前フランス総督の肖像画が、パキータのペンダントの絵と一緒であることがわかる。パキータは、ジプシーにさらわれた前総督の娘だったのだ。フランス人貴族、パキータとリシュアンは晴れて結ばれる。―というのが「パキータ」全幕のあらすじだが、レニングラード国立バレエがレパートリーにしているのは、その一部分を再構成した一幕バレエ。現在では全幕よりも有名で、世界中で踊られている。

レニングラード国立バレエの「バヤデルカ」のここが見どころ

Point01 変化に富んだ構成の面白さ

「パキータ」の楽しさは、群舞(コール・ド)、ソロ、パ・ド・ドゥなど変化に富んだ構成が、数十分の短い作品のなかに詰め込まれていること。それはそのままバレエの面白さのエッセンス。群舞の迫力とパワー、ソロ・ダンサーの隅々にまで気を配った踊り、パ・ド・ドゥを踊る二人の息の合った演技を、それぞれにじっくり味わうことができる。

舞台の写真
パ・ド・ドゥ
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群舞(コール・ド)

Point02 バレリーナをじっくりみる

「あらすじ」にあるように、すでに全幕から離れてバレエ組曲として独立している「パキータ」には、いくつもの女性ソロ(ヴァリエーション)が登場する。それは十数曲に及んでいるといわれるが、その全てが踊られるわけではなく、レニングラード国立バレエでは、主役のソロを含め5曲披露されることが多い。それらは、複雑なステップが組み合わさっていたり、ジャンプの見せ場が散りばめられていたり、それぞれに特徴がある。その特徴をどう活かすかは、ダンサー次第。他の全幕バレエでは、脇役を踊っているダンサーが、「パキータ」のソロに抜擢されることは珍しくない。「パキータ」で、「ひいき」のダンサーの新たな魅力、あるいは将来のプリマを発見したい。

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女性ソロ(ヴァリエーション)
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ルジマトフ

Point03 ダンサーのこだわりに注目!

もともと「パキータ」の舞台は、ナポレオン統治下のスペインで、ヒロイン、パキータは、ジプシーに育てられたフランス人だ。そのような下地は、すでに一幕物の「パキータ」にはないが、主役カップル(一幕物には、すでに主役の名=パキータやリシュアン=はない)の踊りから、スペインの匂いを感じることもある。もちろん、フランス貴族然としたエレガンスが漂うペアもいる。それは、ほとんど踊り手に任されているといっていいだろう。ちなみに現在レニングラード国立バレエ芸術顧問のルジマトフが踊った「パキータ」はスペイン・テイスト。自身も「『パキータ』はスペイン的だから自分に合っている」と語り、髪形や、決めポーズもスペイン色を強調していた。ダンサーの「こだわり」にも注目したい。

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